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理性を、繋ぎとめなければ。
今、かろうじて正気を保っていられているのは、テオドールの顔がずっと脳裏に浮かんでいるからだ。
秘められた場所を暴くように広げられ、わざと入り口付近を優しく触られるともどかしくて堪らず、快感を求めて身体が勝手に腰を突き出してしまう。
――こんなの、私じゃないわ。
涙をこぼすようにから滴る卑猥なものを、ディオンが下から上へと掬った。そして、それを塗りたくるように蜜口を撫でてくる。
すると、背中をのたうつような快楽が襲いかかってきた。
「ひあ……ッ、あああ……!」
僅かな刺激でも敏感に快楽を拾い上げる今の身体では、声を我慢することができない。セレーネは美しい音色を上げ、足の先をぴんと伸ばした。
「狭い、ですね……。まるで処女のようです」
羞恥を煽る言葉にすらじんじんと芯が疼き、セレーネは苦しさに眉を寄せる。
入り口を浅く抜き差ししていたディオンの指が、追い立てるように内壁をぐっと擦り、そして突然最も敏感な場所を突き上げた。
「イ、ァア――――!」
大きく身体が跳ねたかと思えば一気に力が抜け、セレーネはぐったりとしてしまう。
恍惚としたものが消えてくれない。もっともっと強く、激しい刺激が欲しい。
あれが、欲しい。男の人の太くて熱くて逞しいあれが、どうしようもなく欲しいのだ。
「達きましたか。……でも、足りないでしょう?」
――嗚呼、止めて。
「なにが欲しいですか……?」
――違う、いらない。私は、テオドールさま以外のものなんていらないの。
毒を含んだ甘い囁きに、喉が上下する。
心とは裏腹に身体は期待していて、儚い場所はてらてらと艶をまといディオンを誘う。彼の目が、獲物を捕らえたかのように鋭い光を放った。
自分は、喰べられてしまうのだろうか。
そう漠然と思ってしまうほどに余裕がなく、浅ましくも甘美な快楽を求める身体が恐ろしくて、目に涙の膜が張った。
「さあ、言って……?」
耳朶をしゃぶられ、熱い吐息がかかり、聞こえる水音に背中がぞくぞくとして止まらない。
言えば楽になれる。でも、テオドールを裏切るような真似だけは絶対にしたくない。
再び開始されようとしていた行為に身構えた時、突然屋敷が騒がしくなり、ディオンが動きを止めた。
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