第4章 信じるものは

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 ――お願い、早く出て行って……  これ以上はもう、本当にもちそうにない。  張っていた気が緩んでしまったからか媚薬に抗えなくなっており、セレーネは目尻を赤く染め上げた。  脚の付け根の中心。そこが疼いて、苦しい。 「お願いです、テオドールさま……」  男たちが部屋から出ていく音が聞こえる。 「身体が酷く疼いて、苦しいんです……」  どうかこの熱を鎮めてほしい。  上擦った声で言うセレーネのせいでテオドールの雄は早くも昂り、参ったとため息をつかれてしまった。 「セレーネ、なにか薬でも盛られたのか?」  縛られ、痛々しい色になっている手を解放してくれたテオドールにこくりと頷き、セレーネは小瓶を指す。 「これは……そうか、この媚薬は飲まされたのか? それとも、直接粘膜に擦り込まれたのか……?」  それを、言わなければならないのだろうか。  言葉を詰まらせるセレーネに、テオドールは恐らく後者であったのだろうと判断したようで、さらに大きなため息をついた。 「これは直接粘膜に擦り込んだ方が効果のあるものだ。全く……普通は正気ではいられないものだぞ、セレーネ」 「で、も……テオドールさまじゃないと、テオドールさまではないと嫌で、私……」  じわりと浮かべた涙を舐め取られ、セレーネは喉を反らす。その柔らかい舌の感覚でさえも気持ちよくて、呼吸が乱れた。  自分の意思とは関係なく愛蜜が溢れ、それがテオドールの情欲を煽ったようで、熱い視線を向けられる。 「私への操を立て、堪えたというのか……? あなたはなんて健気なんだ。傷ついているだろうし、手を出したくはなかったんだが……抱いて、いいんだな? セレーネ」 「は、い……。わ、私、汚くなって……ああ、ごめんなさいテオドールさま。こんな私に触れるのなんて」 「あなたは汚くなんてない。……セレーネ、今からあなたを抱くのは私だ。だから、よけいなことは考えるな。私だけに集中して、快楽に溺れるがいい」  唇を這うテオドールの舌に、セレーネはぶるりと身体を震わせた。  ちゅっと口付けられるだけでも気がおかしくなりそうで、怖くて、彼の背中にしがみついてしまう。 「そう煽るな、セレーネ。あなたに乱暴なことはしたくないから、これでも滅茶苦茶にしたい気持ちを抑えているんだ」
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