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「あの男があなたに触れたというのはわかっていたが、どこに触れたのかわかるともう、抑えられそうにない。……さあ、セレーネ、教えろ。あなたはどこを、どのように触られたんだ?」
グルルルルっと、唸る獣のように。雄の目を向けられ、視線を逸らすことができなくなった。
肉食獣に食べられる子たちは今の自分みたいに、恐怖ではなく悦びを感じることがあったのだろうかと、ぼんやり、そう思ってしまう。
ふるふると唇が震えているのはなにも、怖いからではない。
羞恥からであり、一気に顔に熱が集まった。
「い、言えません」
「あなたに拒否する権利はない」
「んん……っ」
ぐいっと強く唇を押し当てられたのに、とても優しい温もりで、ぶわっと肌が粟立った。
するりと忍ばせられる舌のぬるぬるした感覚は、理性を奪っていく。
唾液が混じり合い、くちゅくちゅと卑猥な音が耳朶を犯して、身体に快楽の電流が走った。
脳みそが甘く痺れ、歯をなぞる彼の舌がとてもいやらしくて、心まで愛撫されているかのようだ。
「ふアァん、んゥ……ッ」
媚薬のせいで深いキスは、苦しいくらいに身体が疼いてしまう。
濡れた唇のまま首筋に強く吸いつかれ、それすらも堪えがたい痺れとなって、身体に襲いかかってきた。
駄目、駄目。過ぎた快感はまるで、拷問を受けているかのようだ。
「テオ、ドールさまぁっ」
「心地いい声だ、セレーネ。さあ、教えるんだ。じゃないと、ここに触れてやらないぞ」
色っぽい低い声で囁かれると、逆らえなくなる。
なんの魔力なのだろうかと思ってしまうくらいに従わずにはいられない、その艶めかしい声だけで、もう気持ちよくて濡れてしまう。
ふうっと息を胸の頂に吹きかけられ、セレーネは身を捩った。
「ヒッ、ああ、……っ。く、口付けを。口付けをされました。でも、私、噛みついて……だから、やあああん」
おもむろに花弁を舐められ、谷間に汗が伝う。
少し触れられただけでぷっくりと膨らみ、こりこりとしてしまうそこに吸いつかれ、快感を我慢していたセレーネは呆気なく達ってしまった。
何が起きたのか理解できない。
胸だけでこんな恍惚とした世界に連れていかれるのであれば、あの疼く場所に触れられたらどうなってしまうのだろうか。
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