第4章 信じるものは

20/23
前へ
/154ページ
次へ
「あああん、ぁあああ――……!」 「これだけで達ったのか、セレーネ。このままではあなたが望み言ったように、壊してしまいそうだ」  残念そうに言うのに、テオドールの口許は愉しげな弧を描いていた。そんな姿に、胸の奥と、彼を受け入れているナカがじくじくと熱をもつ。  襞の連なりを猛った雄槍に摩擦され、激しい疼きが突き上がり、セレーネはナカを窄めた。 「んぁ、あっ、ああッ……!」  奥を穿(うが)たれると、そのたびにぐちゅぐちゅと激しい水音が部屋に響き渡り、聴覚までをも侵して、気が狂いそうになる。  どこもかしこも性感帯なのは媚薬のせいなのか、それとも彼を愛しく思うからなのか。  テオドールのアイスブルーの瞳は相変わらず冷たさを帯びているのに、今、とても情熱的に自分を見ていて、胸が苦しいくらいにきゅっと締め付けられた。 「ひあっ、んくぅ……ひゃあ……!」  口を開けば喘ぎ声ばかりが漏れ、それにテオドールが悦んでくれているのか、抽挿を繰り返す彼のものが質量を増していく。  その大きくて太い楔からもたらされるものに、セレーネは必死に意識を飛ばさないよう、ひたすらに堪えた。 「かわいくて、一生このまま私の腕に閉じ込めておきたい。……セレーネ、もっと、啼いてくれ。ほら、あなたはここが好きだろう?」  こことは、どこなのだろうか。  そんなことすら考えられないくらい、快感の渦に呑まれているセレーネは、与えられる快楽に従順な状態である。  敏感な場所を執拗に攻められればよがり、爪先を伸ばしたり丸めたりを繰り返して、甘い声を上げ続けた。 「ああぅ、気持ち、いいの……ッ。やあん、テオドール、さまっ……!」  結合部分を見せつけるようにぐっと高く腰を持ち上げられては、視覚までも快感を受け取ってしまう。  忘れずに胸もかわいがられては、この疼きを止めることができなかった。 「もっと、テオドールさまを、感じたい、の……っ。お願い、行かないで、一人にしないで、ああ――……っ」  また達ったところで、ぴたりとテオドールの動きが止まった。  泣きそうなくらいに歪められている彼の顔は悲しいのに、もっと快感を得たくて、きゅうきゅうと楔を締め付けてしまう。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4972人が本棚に入れています
本棚に追加