金魚

　異変を感じたのは、帰宅してシャワーを浴びた後。

　浴室から出ようとドアを開けた時。視界の端を、オレンジ色の何かがちらついた。

　ーー何だ？　今のは。

　頭が形をはっきりと認識する前に消えてしまったのだけれど、確かに見えた気がした。

　静かな脱衣室。照らす青白い明かり。薄暗い廊下に背筋がゾクリとして、僕は着替えもそこそこに、家族のいる居間へと逃げた。