第1章

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染まらないで帰って 染まらないで帰って 恋人よ 半年が過ぎ 逢えないが 泣かないでくれ 都会で流行の 指輪を送るよ 君に 君に似合うはずだ いいえ 星のダイヤも 海に眠る真珠も きっとあなたのキスほど きらめくはずないもの きらめくはずないもの 恋人よ いまも素顔で 口紅も つけないままか 見間違うような スーツ着たぼくの 写真 写真を見てくれ いいえ 草にねころぶ あなたが好きだったの でも木枯しのビル街 からだに気をつけてね からだに気をつけてね 恋人よ 君を忘れて 変わってく ぼくを許して 毎日 愉快に過す街角 ぼくは ぼくは帰れない あなた 最後のわがまま 贈りものをねだるわ ねえ 涙拭く木綿の ハンカチーフ下さい ハンカチーフ下さい 第6位 岸壁の母 二葉百合子 母は来ました 今日も来た この岸壁に 今日も来た とどかぬ願いと 知りながら もしやもしやに もしやもしやに ひかされて (セリフ)又 引揚船が帰って来たに 今度もあの子は帰らない。 この岸壁で待っている わしの姿が見えんのか。 港の名前は舞鶴なのに なぜ飛んで来てはくれぬのじゃ… 帰れないなら大きな声で… お願い…せめて、せめて一言… 呼んで下さい おがみます ああ おッ母さんよく来たと 海山千里と 言うけれど なんで遠かろ なんで遠かろ 母と子に (セリフ)あれから十年… あの子はどうしているじゃろう。 雪と風のシベリアは寒いじゃろう つらかったじゃろうと命の限り抱きしめて… この肌で温めてやりたい… その日の来るまで死にはせん。 いつまでも待っている… 悲願十年 この祈り 神様だけが 知っている 流れる雲より 風よりも つらいさだめの つらいさだめの 杖ひとつ (セリフ)ああ風よ、心あらば伝えてよ。 愛し子待ちて今日も又、 どとう砕くる岸壁に立つ母の姿を… 第7位 俺たちの旅 中村雅俊 夢の坂道は 木の葉模様の石畳 まばゆく白い 長い壁 足跡も影も 残さないで たどりつけない 山の中へ 続いている ものなのです 夢の夕陽は コバルト色の空と海 交わってただ 遠い果て 輝いたという 記憶だけで ほんの小さな 一番星に 追われて消える ものなのです 背中の夢に 浮かぶ小舟に あなたが今でも 手を振るようだ 背中の夢に 浮かぶ小舟に あなたが今でも 手を振るようだ 夢の語らいは 小麦色した帰り道 畑の中の もどり道 ウォーターメロンの 花の中に 数えきれない 長い年月 image=507763147.jpg
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