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暗闇の中にたたずむ不気味な三階層の建物。
明かりは車のヘッドライトのみで、真っ暗な入り口が二人を待ち受けていました。
「じゃあ、行くか」
友人に声を掛けられ、肝だめしの始まりです。
「勇気のほどを見せてくれよな」
友人に促された私は、青ざめていたと思います。
それぞれが懐中電灯を持って屋内へ入って行きます。建物は、東西に長く伸びる構造でした。
「じゃあ、お前はあっちの階段な!先に幽霊を見つけた方が勝ちだ!」
友人に言われた私は、頷くだけで精一杯でした。
それぞれが、東西の階段に分かれます。
自分の足音以外は、何一つ音のない世界。私は、泣きたい気分でした。
とにかく三階まで上がってから、降りて来ようと思っていました。
辺りは埃っぽく、たまに咳き込みます。
私は、二階を素通りして、三階へと向かいます。
三階は広々とした空間でした。
懐中電灯で辺りを照らします。確かに気味の悪い建物ではあるが、それだけです。
「幽霊なんかいないじゃん」
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