肝だめし

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 私がそう思った時です。何かが動く気配がしました。 「誰?誰かいるの?」  私は、“それ”を懐中電灯で照らします。  その正体は、人間の下半身でした。下半身だけが、こちらへゆっくりと進んで来ます。 「ぎゃあああ~!」  私は叫び声をあげて逃げ出します。床に散らばったゴミに足をとられそうになりながら、階段を駆け降りました。  車の横で震えていると、友人が近付いてきました。 「ごめん、ごめん、驚いた?」  友人は、悪戯の種明かしをします。  先に三階へ着いた彼は、不法投棄されたマネキン人形で驚かそうと考えたようです。  つまり、腹ばいになって人形の足の部分を持って進んでいました。  そのため、私の懐中電灯は、人形の下半身の部分しか照らせずに、人間の下半身が歩いて来ると勘違いしたようです。
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