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満井くんは台車いっぱいに営業部宛の段ボールを積み終え、落下防止のロープでくくると、もう一台の台車を広げた。今度は清掃室に運ぶトイレットペーパーや清掃道具が入った大きな段ボールを積み始める。
かすかにエレベーターが到着したベルの音が聞こえて、私は音のした方を見た。エレベーターから降りたのは春田さんと築島課長だった。二人は足早にこっちに向かってくる。
「お待たせしました!」
春田さんは私に言った。
「課長も手伝ってくださるそうで……」
「課長、引継ぎはいいんですか?」
私は課長に聞いた。
「ああ、うん。斉川さんが経理に呼ばれちゃったし、ちょうど社内を見て歩きたかったから」
課長はにっこり微笑んだ。詩織ちゃんがこの笑顔を見たら、目をハートに輝かせそうだ。
「じゃあ、お願いします」
私は春田さんに四階と五階の備品を任せた。営業部は五階。満井くんも手伝って、春田さんは備品を積み終え、満井くんとエレベーターに乗った。私は課長に清掃室に運ぶ台車を頼んで、自分は二階と三階に運ぶ台車を押した。清掃室は地下通用口の真逆の方向にある。課長と私は地下の通路を真っ直ぐ歩いた。
「庶務って具体的にどんな仕事をするの?」
ガラガラと台車を押しながら、課長が聞いた。
「急な異動で、引継ぎも出来なかったから、ざっくりとしか知らなくてさ。教えてもらっていいかな」
急な異動……ねぇ。
私はあえて課長とは目を合わせずに、歩いた。
「通常業務は備品の発注や管理、郵便物の配達、遺失物の管理、社内会議の資料作成やセッティングってところです。あとは頼まれればなんでもやります。もちろん、課長の判断でお断りする場合もありますが、たいていのことは引き受けます」
「たとえば、どんなことを頼まれるの?」
「昨年度は営業部のイベント設営の手伝いや企画部の企画書の作成をしました。出張時の飛行機やホテルの手配はよく頼まれますね。接待で接客係もしました」
「コンパニオン?」
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