第五章 Till Death Do Us Part ~死がふたりを分かつまで~

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護衛の騎兵に先導され、六頭立ての馬車が進む。徴税人の紋章をつけた馬車だ。  見覚えのあるヤギを見かけて、ドゥカートは馬車を止めさせた。 「ジョセフィーヌじゃないか! どうしたんだ、こんなところに」  馬車からおりたドゥカートに、ヤギがうれしそうにじゃれついた。 「隊長! さがしたんですよ! アタシ、ヤギさんに連れられて隊長探して30の街、全部まわったんですよ! どこにいたんですか」 「すごいな、ジョセフィーヌ! よく俺の場所がわかったな」  ジョセフィーヌが頭をなでられ、うれしそうに目を細めた。 「たぶん、全部の街にいた。すれ違ったんだな」 「ええ~! 隊長もいらしたんですか? そうならそうと言ってくださればよかったのにぃ。 あ、そうだ! 隊長、聖堂には行っちゃダメです! 近衛隊、アタシたちのじゃない、王弟殿下の私兵あがりの新しい近衛隊が、銀の弾丸作って隊長のこと待ち構えてます」  馬車から王子が降りてきた。狂王の制服、かつてドゥカートが父である狂王にゆずった制服を身に着けていた。 「副長、王家の宮殿の絨毯がなにゆえに紅いか知っているか?」 「王子! 生きてらしたのですね!」  副長が息をのんだ。 「絨毯を紅く染める覚悟のある者だけが、王となるからだ。行くぞ」 「おまえは連れては行けない。待機してろ」 「そんなアタシも行きます! 隊長は、アタシをかばって王殺しの罪を」  ドゥカートが副長の髪の毛をくしゃくしゃにした。 「いつものように、待ってろ。俺はいつも必ず帰ってきたろ」  副長が涙ぐんだ。馬車が遠ざかってゆく。 「あ、ヤギさん! 待って!」  副長は、ヤギを追って駆け出した。
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