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「菊池さん、ちょっと」
「はい」
部長が手招きした。
小走りで部長の元に向かう。
なんとなく予想はできた。
「あの……急ぎではないんだけど……これやっといてもらえるとすっごく助かるなぁ……なんて……」
はーい、でましたー。
「あぁ……気付かなくてすみません」
「いいのよ、いいのよ。気付かなかった私が悪いから」
いやいや、気付いてたよね？
私、あなたが一時間前にその資料のチェックしてたの見てましたからね？
「すぐやります」
「急ぎではないからね」
それで明日やるって言ったら怒るくせに……
「いえ、今日中に終わらせます」
「あら……助かるわ。急ぎではないのにごめんね」
そう言って資料をどさっと渡してきた。
と同時に、定時を知らせるチャイムが鳴った。
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