キツネの嫁入り

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昔話とかに出てくる狐の妖怪って、 着物着た美人が多いだろ? まさに、そんな感じ。 目を開けたそいつと視線が交わって、 慌てて我に返る。 違う違う。 こいつは突然やってきた化けもんだ。 「・・・それがお前の正体か?」 「ほ、本当は獣の姿になるのですが、その、今は外ですし・・・ご勘弁ください」 「獣?」 「私は白狐っていう生き物、です」 びゃ、白狐? なんだよ、それ。 狐とはまた違うのか? 「小さい頃、私は母親と一緒に山奥で暮らしていました。  そこで・・・遥人さまのお母様と出会いました」 「・・・母さんと?」 「母親を殺され、一人になった私を助けてくださったのです」 ・・・は? 母さんが、こいつを助けた? 「そのときのお母様はまだお若かったのですが、  私が恩返ししようと会いに行ったときは、すっかり大人の女性になっていました」 「・・・・・・」 「私が恩返しをしたいと伝えると、お母様はおっしゃいました。  何も望まないけど、もし自分がいなくなったら残った家族を守ってほしいと。  だから私は遥人さまを探して――」 「ちょ、ちょっと待て、待てって!」 なんか、頭痛くなってきた。 えーと、こいつの言うことを整理するとこういうことか?     
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