40人が本棚に入れています
本棚に追加
昔話とかに出てくる狐の妖怪って、
着物着た美人が多いだろ?
まさに、そんな感じ。
目を開けたそいつと視線が交わって、
慌てて我に返る。
違う違う。
こいつは突然やってきた化けもんだ。
「・・・それがお前の正体か?」
「ほ、本当は獣の姿になるのですが、その、今は外ですし・・・ご勘弁ください」
「獣?」
「私は白狐っていう生き物、です」
びゃ、白狐?
なんだよ、それ。
狐とはまた違うのか?
「小さい頃、私は母親と一緒に山奥で暮らしていました。
そこで・・・遥人さまのお母様と出会いました」
「・・・母さんと?」
「母親を殺され、一人になった私を助けてくださったのです」
・・・は?
母さんが、こいつを助けた?
「そのときのお母様はまだお若かったのですが、
私が恩返ししようと会いに行ったときは、すっかり大人の女性になっていました」
「・・・・・・」
「私が恩返しをしたいと伝えると、お母様はおっしゃいました。
何も望まないけど、もし自分がいなくなったら残った家族を守ってほしいと。
だから私は遥人さまを探して――」
「ちょ、ちょっと待て、待てって!」
なんか、頭痛くなってきた。
えーと、こいつの言うことを整理するとこういうことか?
最初のコメントを投稿しよう!