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母さんは、こいつを助けた。
何年後かわからねぇけど、こいつが母さんの所へ恩返しをしに現れた。
で、母さんが「家族を守れ」って言った。
だからこいつは俺たち家族の前に現れた。
「いやいやいや、あり得ねぇだろ!」
「・・・信じられませんか?」
「当たり前だ!
信じられたとしても、母さんがお前を助けたってところまでだ」
・・・信じられない。信じられるわけがない。
でも、
恩返しをしたいって言われて家族を守ってって言うのは、
なんっていうか、母さんらしい。
自分のことよりも、
俺たち家族のことを優先する人だったから。
「・・・で、もし自分がいなくなったら、の話が、
現実になったってことか?」
「はい、残念ながら」
「だからお前はうちに来て、
料理とか洗濯とか家事を・・・いやいや、化けもんができるわけが」
「それは、必死に練習しました。
もしお母様の言うことが現実になったとき、いつでも遥人さま方のお力になれるように」
「・・・・・・っ」
なんだよ、それ。
わかんねぇよ。
わけ、わかんねぇって。
こんな話、絶対こいつの作り話のはずなのに、
でも、
目の前にいるこいつは耳もしっぽも生えてるし、
俺の名前も勇雅の名前も知ってたし、
こいつ、家事だってちゃんとこなしてるし。
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