キツネの嫁入り

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あー・・・、 なんだろうな。 目が覚めると家のベッドの上にいて、 すっげぇ身体痛いけど、 ある程度は手当てしてもらってて、 きっとあいつがしたんだろうと思うと、 なんか・・・どうしていいかわからない。 あいつは、俺を守ったんだろうか。 母さんへの恩返しとして。 俺、あいつにすげぇひどいこと言ったのに。 化けもんって罵ったのに。 リビングに下りていくと、 親父だけが起きてた。 俺に気付いて、酒の入ったコップをテーブルに置く。 「大丈夫か?ケンカもほどほどにしておけよ」 「ケンカっつーか、一方的に殴られただけだし」 「どうせ女の人と遊び呆けたからだろ」 「う・・・」 言葉に詰まる俺を見て、親父が鼻で笑う。 笑うなよ。 「お前、紺くんにお礼言うんだぞ。お前を連れてきたのは」 「知ってる」 「そうか」 「・・・・・・なあ、親父」 親父の向かいに座って、コップに酒を注ぐ。 「あいつのこと、なんで家に置くんだ?」 「紺くんのことか?」 「最初から、意味わかんねぇことばっか言ってたじゃん。  俺に会いに来たとかなんとか」 「・・・ああ。  それは、母さんのことを思い出したからだ」 ・・・母さんのこと? 「実はな、母さん昔、狐の親子を助けたことがあるそうなんだ」     
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