キツネの嫁入り

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「・・・は?」 狐の、親子? 「といっても、母キヅネの方は助からなかったらしいけどな。  傷だらけだった子ギツネを手当てして、一生懸命看病したらしい」 「・・・・・・」 「そうしたら、その子ギツネ、どうしたと思う?」 「・・・恩返しに来た」 「そう、そうらしいんだ」 ぐちゃぐちゃだった頭の中が、整理されていく。 だって、 この話聞くの、二回目だから。 「で、母さんはその子ギツネに言ったそうだ。  自分には夫も子供もいて、半年後には二人目の子供が産まれる。  今のままで幸せだから、叶えてほしいことなんてない、って」 「・・・・・・」 「ただ、もし何かの理由で自分が先に死ぬことになったら、  自分の代りに家族を守ってほしい。  それが自分の望みだ、と言ったらしい」 なんだよ、 どうすりゃいいんだよ、 あいつから聞いただけなら、 どうせ嘘だって思えたのに、 親父から聞く話が、 辻褄合わせたんじゃね?ってくらいピッタリで・・・、 「だから紺くんを初めて見たとき、  母さんが助けた子ギツネだって思ったんだ。  母さん、その子ギツネのこと、紺って名付けたらしいしな」 ・・・だから、 だから親父はあいつのこと疑わなかったんだ。 最初から受け入れたんだ。     
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