キツネの嫁入り

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 しんどいってわかってたら親父の部屋なんかじゃなくて俺の」 「・・・え?」 「あ・・・」 ・・・し、仕方ないよな。 だってずっと親父の部屋で寝てたら、しんどいんだろ? 別に深い意味ねぇし。 それで体調崩されたりしたら困るだけだから。 こいつが母さんへの恩返しとして俺たちを守っている以上、 こっちだって守ってもらわなきゃ困るわけだし。 「・・・お前、これから俺の部屋で寝れ。  ここだったら別に耳出そうがしっぽ出そうが、白狐になろうが構わないから」 あ・・・、 俺の提案を聴いた紺が、少しだけ笑う。 なんだ、嬉しそうな顔できるんじゃん。 「遥人さま」 「なんだよ」 「・・・ありがとうございます」 だ、だから、お前のためじゃねぇし。 面倒事を避けたいだけだから。 「も、もう寝ろ。ほら早く白狐になっちまえ」 「は・・・はい」 紺が俺の方をちらちら見ながら、 服に手をかけ始める。 あ、そっか。 「白狐になる前って、ひょっとして全裸になるのか?」 「は、はい、服が破れてしまうので」 そうなったら、ジロジロ見るのは恥ずかしい。 俺が後ろを向くと、服の擦れる音が聞こえて、 「・・・うわ」 次に振り向くと、 白くて大きいキツネが立っていた。 これがこいつの本当の姿なのか。 なかなか寝ないところを見ると、     
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