キツネの嫁入り

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しばらくしてノックの音が聞こえて、 紺が入ってきた。 「失礼します」 俺の様子をうかがいながら、 紺がその場に座る。 「アイロン、終わったのか?」 「は、はい。起こしてしまって申し訳ありませんでした」 「・・・・・・」 そうじゃねぇんだよ。 そこじゃねぇんだよ。俺がムカついてるのは。 「なあ、紺」 「は、はい」 「お前さ、親父の言うことなんでも聞くわけ?」 「え・・・?」 「親父がアイロンかけろって言ったから、かけたんだろ?」 ほら、図星だ。 だって困った顔してんじゃん。 じゃあもっと困っちまえよ。 「・・・お前、親父が迫ってきたら受け入れるわけ?」 「え・・・?」 あー、間違った。 こいつに意味が伝わってない。 「あ、あの、迫る・・・とは」 「抱かせてくれって言ったらってことだよ」 「だ・・・?」 「ヤらせんのかって。セックス。交尾!」 「っ」 ようやく伝わったか。 ほら、こいつの顔が赤くなっていった。 そしてまた目を伏せやがった。 「そ、そんなこと・・・私はオスですし」 「関係ねぇって。だってお前、母さんの代わりなんだろ?」 「・・・・・・」 「で?どうなんだよ。親父とすんのか?」 顔を真っ赤にしながら困って、 困って困って、 結局、紺が出した答えは・・・。     
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