由美の章(美沙子の友人)

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私は週三回、学童保育で働いている。 生徒達は可愛くて、そんなに大変な仕事では無いが、一方的に文句をまくし立てるモンスターペアレンツ等もいて、ストレスは溜まる。 それに、その頃、夫の携帯を見てしまい、腹を立てていた。 会社の女の子と嬉しそうにメールしている夫と、そして、それを知りショックを受けている情けない自分に‥。 携帯やスマホは、まさに現代の「パンドラの匣」だ。 好奇心に駆られて開けると出て来るのは嫌な物ばかり。 村田君は学童保育で使う食材の会社の営業をしている。 年は私よりも一つ下らしい。 職業柄、礼儀正しい態度に好感は持てたが、恋愛感情なんて全く無かった。 でも、何故だか村田君と月に一度位の頻度で二人だけの時間を持つようになってしまった。 仕事帰りに車で、少し離れた温泉施設に行く。 先ず、受付で前料金を払う。 そして、女性専用エリア行き、入浴をする。 身体を洗いサウナに入って暫く露天風呂につかり温まるまで小一時間。 殆どの人はその後、館内のレストランや休憩所に行くのだろう。 しかし、私はエレベーターに乗ってもレストランや休憩所がある階を通り過ぎる。 そして、予め教えたられた番号の五階の個室のチャイムを鳴らすのだ。 最初に、村田君が待つ部屋に行く時はさすがにドキドキした。 でも、今は平安湯の駐車場に車を停めた時から受付に行って、入浴し、それから五階に行き、村田君と抱き合う。 それが自然な流れになっている。 去年、出入り業者の村田君と温泉の話で盛り上がってラインで情報を交換し合い、新しく出来た「平安湯」を知った。 (個室もあって休憩や泊まる事も出来るみたいですよ~♪) (えー、何か旅館みたいね?) (本当ですね、佐伯さんとなら行ってみたい(笑)) (またまた~(笑)) (行ってみましょうよ、どんな所か(笑)) (行ってみようか、どんな場所か(笑))
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