美沙子の章

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「 今度のランチ何処にする? いつも素敵なお店に連れて行ってくれて有難う」 ナオ君ママからのメールだ。 子供が通う私立小学校で知り合ったナオ君ママとは気が合って、他のママ友も誘い、毎週一回か二回ランチの会を開くのが恒例になっている。 私立小とは言っても、名門校とは違い苗字を聞いただけで、出自が解るような超セレブはいないけど、のんびり大学まで進学出来るので子供にも親にも居心地が良い。 特に私みたいな地方出身者にとっては‥ すぐに、数日前に機種変したばかりのスマホを取り出して、いつものサイト「ランチの女王」を開く。 料理のジャンル、場所、予算等を入力して口コミも考慮してお店を決めるのは、いつの間にか私の役目になっている。 ママ友からのリクエストに合わせて、サイトでお店を探なんて簡単だし、心弾む作業だ。 このグルメサイトの「ランチの女王」が無ければ地方出の私が都会の小洒落たレストランを探すのなんて全く無理だっただろう。 今度のメンバーは五人、皆の意見をまとめると、フレンチの八千円のコースになった。 レストランを選ぶ時、私達は美味しいかどうかは、それほど重視はしない。 トレンドを押さえているか、帰りにショッピングしやすいか、子供が帰る時間に間に合うかが店選びのポイントだ。 正直、いつもお喋りに夢中で料理なんて味わってはいない。 でも、きっと美味しいに決まってる、だって、「ランチの女王」の評判が高い店ばかり選んでいるのだから。 私はサイトの手順に従って、日にち、人数、コースを入力した、予約完了。 「ノワール予約出来たよ。○月×日十一時半ね」 早速、ナオ君ママにメールした。
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