美沙子の章

6/6
前へ
/11ページ
次へ
この「ランチの女王」の秀幸のイタリアンレストランのページに初めてクチコミをした時は、投稿の加減がよく解らずに星を最低の数にしたり、あからさまなクレームばかり書いていた。 でも、すぐにネガティブなレビューは削除されやすいと気づいた。 そして、何度か試すうちに微妙な文が書けるようになって来た。 丁寧な文体で、褒め言葉の中に、マイナスの言葉を加える事が肝心だ。 決して、下品になってはいけない。 穏やかな文章の中に、少しクレームをつける、その匙加減が大切なのだ。 根気良く私が星を減らし続けているので、秀幸の店の人気を表す星の数は一向に増える気配は無い。 「ランチの女王」には一つのIPアドレスから一回しか投稿出来ない仕組みになっている事にも気づいた。 おそらく、サクラや私のような、本来の目的とは違う連続レビュアーを排除する為だろう。 だから、私はスマホの新しい機種が出ると、すぐに買い換える。 パソコンはもちろんだし、タブレットも持っている。 もともと、機械オンチだった私だが、いつの間にかスマホもパソコンもうまく使えるようになり、ネットの仕組みも理解出来るようになって来た。 (秀幸のお蔭ね…) 私は小さく呟いた。 あ っ、機種変したばかりのスマホに着信だ。 ナオ君ママからのメールが来た。 「レストランの予約ありがとう。 今度も良さそうなお店だね。 さすが、亜梨沙ちゃんママ ランチの女王様!」 私はすぐに返信した。 「そんな事ないよ、 私なんか全然お店知らないもの。 全部、ランチの女王サイトのお蔭だよ。 本当に便利だよね~♪ ランチの女王って!!」 私は、今度ははっきりと口に出して言ってみた。 ありがとう、秀幸 私の今の幸せは全部貴方のお蔭。 本当にありがとう 私の幸せと同じ量 不幸になって く、 れ 、 て、
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加