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いざ、小屋を目の前にすると、建っているのが不思議なくらい木が腐食しており、隙間だらけで、ちょっとしたつむじ風でも吹き飛びそうな小屋だ。 ノックしようと扉らしきモノに近づいたとき、隙間から覗く黄ばんだ目に気が付いた。 「この墓地を管理してる人間を探しているのだが。」 「帰りな!俺は死体以外と関わるつもりはねぇ!」 しゃくれた声で拒絶の言葉を投げつけてきた。 生きた訪問者が久しぶり過ぎて、コミュニケーションの取り方を忘れたのだろう。 街に入る前からこれだ。まともに話もさせてはくれない。 だが、こういう輩には俺はなじみが深い。金か、暴力に訴えれば直ぐに協力的になる。 俺は大袈裟にポケットに手を突っ込んで見せた。 「テメェ!何する気だ!ポケットから手を出せ!ドア越しにライフルをぶっぱなすぞ!」 「まぁ、落ち着け。そんなんじゃない。アンタの好きなモノをやるつもりさ。」 「なに?好きな物だと?騙すつもりだろ!その手には乗らないぜ!手をあげろ!ゆっくりだ!こっちから狙っているライフルを忘れるなよ!いいか、ゆっくりポケットから手を出してみろ!」
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