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「あっ、や、やっ、んンン」
一番桜間が弱いところをピンポイントで突かれ、だめだめと首を振るが聞いてはくれない。
なんとか快感を逃げさせたくて上半身を後ろに反れば「逃げんな」と後頭部を掴まれ戻される。そしてねちっこいキスをしてくるのだからたまらない。
「もぅ、俺、おれっ」
「あ、そうだ」
「・・・へ?」
もうすぐで達しそうになったというのに、ピタリと動きを止める黒江。
下半身を震わせたまま「な、なに?」と問えば。
「加嶋が俺たちのことを知っていようがいまいが、アイツは大学に言う奴じゃねぇよ」
「・・・・」
「まぁ、もしバラされても」
黒江は言う。
「祐介が傍にいるなら、大学なんざいつでもやめていい」
「・・・ばか」
っていうか。
「それを言うために止めたんですか?」
「意地悪がしたくて止めた」
「・・・・」
桜間はプクっと頬をふくらませ、窄まりに力を入れれば「こら」と甘く叱られる。
「だって、黒江先生が」
「なんだよ」
「・・・もういいからっ」
「はいはい、お姫様っと」
「ほん、と、いじ、わるっ!」
けれどそんな彼が好きなのだから。
(本当にバカなのは俺なのかもしれない)
そんなことをどこかで考えつつも、彼に溺れていく桜間なのであった。
~ * ~
「じゃぁ、その楽譜はサクオケで配っといてくれ」
「はいはーい」
加嶋が持ってきた楽譜に目を通した黒江。
あれから加嶋と一対一で顔を合わしたのは初めてだ。
「じゃぁ俺はこれで失礼しま、」
「おい加嶋」
「・・・なんすか」
「祐介は俺のモンだから」
改めて真っ直ぐそう言うと、加嶋は「へーへー」と嫌そうな顔をしつつも頷く。
そう適当な返事をしつつも、彼は大学側に言うことはないようだ。やはり根はいい奴なのだ、加嶋は。
「なぁ、加嶋」
「まだなにか?」
「お前、どうして祐介を好きになったんだ?」
「・・・・」
そう聞かれた加嶋はムスっとした表情のまま、黒江に向き直る。
『竜先輩!』
『どうしたんですか?悩んでるんですか?』
『俺は別に先輩が下手とは思いませんよ!ていうか、俺より下手な人はいないと思われます・・・』
『先輩、ラーメン!ラーメン食べに行きましょう!』
『助かりましたぁ、先輩』
『竜先輩がいてくれて良かったです』
「俺だけの秘密っす!」
そうニッコリ笑って出て行く加嶋に、黒江は参ったと苦笑するのであった。
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