音色に恋して2

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「あっ、や、やっ、んンン」  一番桜間が弱いところをピンポイントで突かれ、だめだめと首を振るが聞いてはくれない。  なんとか快感を逃げさせたくて上半身を後ろに反れば「逃げんな」と後頭部を掴まれ戻される。そしてねちっこいキスをしてくるのだからたまらない。 「もぅ、俺、おれっ」 「あ、そうだ」 「・・・へ?」  もうすぐで達しそうになったというのに、ピタリと動きを止める黒江。  下半身を震わせたまま「な、なに?」と問えば。 「加嶋が俺たちのことを知っていようがいまいが、アイツは大学に言う奴じゃねぇよ」 「・・・・」 「まぁ、もしバラされても」  黒江は言う。 「祐介が傍にいるなら、大学なんざいつでもやめていい」 「・・・ばか」  っていうか。 「それを言うために止めたんですか?」 「意地悪がしたくて止めた」 「・・・・」  桜間はプクっと頬をふくらませ、窄まりに力を入れれば「こら」と甘く叱られる。 「だって、黒江先生が」 「なんだよ」 「・・・もういいからっ」 「はいはい、お姫様っと」 「ほん、と、いじ、わるっ!」  けれどそんな彼が好きなのだから。 (本当にバカなのは俺なのかもしれない)  そんなことをどこかで考えつつも、彼に溺れていく桜間なのであった。 ~ * ~ 「じゃぁ、その楽譜はサクオケで配っといてくれ」 「はいはーい」  加嶋が持ってきた楽譜に目を通した黒江。  あれから加嶋と一対一で顔を合わしたのは初めてだ。 「じゃぁ俺はこれで失礼しま、」 「おい加嶋」 「・・・なんすか」 「祐介は俺のモンだから」  改めて真っ直ぐそう言うと、加嶋は「へーへー」と嫌そうな顔をしつつも頷く。  そう適当な返事をしつつも、彼は大学側に言うことはないようだ。やはり根はいい奴なのだ、加嶋は。 「なぁ、加嶋」 「まだなにか?」 「お前、どうして祐介を好きになったんだ?」 「・・・・」  そう聞かれた加嶋はムスっとした表情のまま、黒江に向き直る。 『竜先輩!』 『どうしたんですか?悩んでるんですか?』 『俺は別に先輩が下手とは思いませんよ!ていうか、俺より下手な人はいないと思われます・・・』 『先輩、ラーメン!ラーメン食べに行きましょう!』 『助かりましたぁ、先輩』 『竜先輩がいてくれて良かったです』 「俺だけの秘密っす!」  そうニッコリ笑って出て行く加嶋に、黒江は参ったと苦笑するのであった。
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