音色に恋して２

　ポロリと涙を頬に伝わせる。それは快楽からの涙であるのは一目瞭然で。黒江はクスクス笑い、頬に伝っている涙を舐め取り、キスの雨を降らせた。
「もっと欲しい？」
「・・・・」
「祐介、欲しい？」
「ぁっ、んんっ」
　服の隙間から手を差しこみ、胸の尖りに指を引っかける。瞬間、桜間の身体はビクリと跳ね、小さく開いた唇の間からは艶めかしい声が零れ落ちる。それに興奮しない男はいないだろう。
　そして黒江は桜間の脚の間に膝を押し込み、グイと持ち上げるようにする。
「ふ、やっ、」
　つま先立ちをしないと足が浮いてしまう状態になるが、すでに勃ち上がったソレに刺激が欲しい桜間は、きっと無意識だろう、つま先立ちをすることはせず、片方の足を地面につけ、もう片方の足を浮かせ、グイグイと動かす黒江の膝の刺激を受けやすい体制を取る。
「祐介、」
「くろ、え、せんせぇ、」
　涙を零しながら桜間は黒江の首に腕を回し、首筋に顔を埋める。そしてグリグリと頭を動かすことによって、快楽に落ちている身体をどうにかして、と訴えかける。
「触って欲しい？」
「ん、んっ」
「じゃぁその前に」
　黒江は桜間の顔を上げさせ、ちゅっと再度軽く口付ける。そして、
「お前、あんま加嶋の前でニコニコ愛嬌振り撒くんじゃねぇよ」
「あい、きょう？な、んで、りゅう、せんぱ、い？」
「なんでって・・・」
　加嶋はお前を狙っているから。
　そう真っ直ぐ言わないときっと彼には伝わらないだろう。というより、あんなに構ってもらっていて、好意を持たれていることに気が付かないとはどういうことだ。
「ほんっと、心配になるよ、お前はっ」
「あ、んッ」
　グイとまた足を持ち上げれば、いい声で啼く桜間。
「いいか、お前はもう少し周りをよく見ろ」
「まわ、り？」
「そうだ・・・いや、やっぱ見なくていい」
「ん？」
　トロンとした目でこちらを見上げてくる彼に黒江はたまらず深く口付ける。
「ふ、んん、ぁ、はぁ、」
　首に回している桜間の腕が強くなる。
「お前は、俺だけ見てればいい」
「・・・俺、いつも先生しか見てない」
「・・・てめぇなぁ」
　黒江はガシガシと頭を掻き、大きく息を吐いて、内に爆発した欲望をなんとか抑える。だが、桜間のズボンと下着を乱暴に下げ、左腕で桜間を抱きしめながらもう片方の手の指を自分の唾液で濡らし、そして彼の窄まりに刺激を与えた。
「ぁっ」