音色に恋して2

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「そんなこと当たり前のように言うとどうなるか、その身体に刻み込んでやるよ」 「ん、ん、ん」  まだ違和感があるのだろう。その指に慣れるように短く息を吐く桜間にゴクリと息を飲んで。 (身体に刻み込まされているのは俺のような気がするけどな)  どこか悔しさを覚えつつも、指の本数を増やしながら彼が慣れるのを待つ。そして慣れてきたと分かれば、 「祐介、後ろ、向け」  こちらの余裕のなさを知られないように出来るだけ優しくそう言えば、祐介は乱れた呼吸を整えた後「いやです」と首を横に振った。 「あ?」 「顔、見たいです」  だって、久しぶり、だし。  顔が見たいと言っていたクセに恥ずかしさでプイと横を向いてしまう彼が可愛くて可愛くて。 「もうどうなっても知らねぇからなっ」  ベルトを急いで緩め、そして正面を向いたままズズっと彼の内へと一気に己を埋め込んだ。 「ふ、ぁあぁ、!」 「っ・・・」  いつもならば慣れるのを待つのだが、そんな余裕などどこにもなく、桜間の腰を抱いて、持ち上げるかのように突き上げる。 「あ、ぁ、あ、っ」 「頼むから、」  黒江は小さな声で呟く。 「加嶋に取られないでくれ」  その言葉は桜間の嬌声によってかき消されていたが、彼がコクコク頷いたような気がして。  黒江は小さく笑ったのだった。 ~ * ~ 「祐介さ、」 「ふぁい」  ラーメンに息を吹き掛け、冷ましながら返事をする。 「黒江先生と何かあった?」 「ふぇ?」  ボチャリ、と割り箸で挟んで冷ましていた麺を落とした。  パチパチと瞬きをして首をギシリと傾ける。麺が伸びることは気にしていないのだろうか、いつの間にか加嶋はテーブルに両肘を付き、まるで指揮をするかのように箸を動かしていた。 「なんか前より打ち解けてね?」 「いや、えーっと」  まだ瞬きをしながら落とした麺を拾う。 「大分、慣れたって、いうか・・・」  慣れました。  慣れたっていうか慣れましたって何だよ、というツッコミは不在のまま。  桜間は嫌な感覚を覚えながら麺を口に含めば。 「まぁ黒江先生はお前のこと大好きだもんなぁ」 「ぶふぉっ!」 「うわ、きたねっ!」  驚きに麺を吹き出してしまう。 「な、な、何でっ!」
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