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今までで一番の衝撃だった。
私が知りうる限り、私以外は他の誰も持っていなかった異端を倒す力。それを持っている人がいたなんて。
そしてその人が……魔王、だったなんて。
「……本当、なんですか……?」
「本当だ」
レインさんの代わりに、ナズさんが返答する。
「レインには異端を消滅させる力がある。今まで何度も、その力で異端を倒してきた」
……これが本当なのだとしたら、確かに異端の元凶ではないという証明になりうる。異端を生み出した存在が異端を倒すなんて、筋が通らないからだ。
「残念ながらすぐに証明することはできないけどね。まさか今から異端を狩りに行こうなんて訳にもいかないだろ? まあ、僕は別に大歓迎だけれど」
最後の一言に明確な悪意が感じられた。やはりこの人は異端という存在に対して何か強い憎しみを持っているらしい。
……今までの要素から考えると、レインさんが異端の元凶である可能性は限りなく低い。確実な証拠はなくても、そう考えるのが自然だろう。
だとしたら……だとしたら、私の旅は一体何だったんだろうか……
「……リーサ?」
「あ……は、はい」
少しブルーになってしまったようだ。今まで苦労した分の反動かもしれない。
「リーサ、君はこれからどうするんだ?」
「……」
これから、か。
私の旅は既に終わっている。この城にたどり着いた時点で、失敗という形で終わったのだ。
……確かに、元凶が魔王ではないとわかったことは一つの収穫だったのかもしれないけれど。
「……私は」
でも、本当にそれで終わらせてしまっていいのだろうか?
これだけでのこのことカリアに帰ってしまって、それで私は納得できるのだろうか?
「……私は、ここに残りたい……です」
……そんなわけ、ない。
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