奇妙で幸せな生活

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それから有紀は林さんの話をし始めた。 彼は、奥さんが男の人と駆け落ちして、残った子供3人の面倒を見ながら働いているらしかった。 「一番上の子供は、林さんの子供じゃないの。奥さんが駆け落ちした人との間に作った子供なの。小学6年生の男の子」 「その事を、林さんは知ってるの?」 「うん、林さんもその男の子も知ってる」 「そうか・・・」 「その子、お母さんのことを憎んでる。林さんにものすごく感謝してる。弟と妹の面倒をとてもよく見てる。林さんはその子の事をとても頼りにしてる。警察から戻ってきた時に、その子にすべて話してた。もし自分に何かあれば妹と弟を頼む、って。葬儀場にも来てたのよ。お父さんの後を付けて。全てを陰から見てたわ」 「そうだったんだ」 「だから、許してあげて」 「ごめん、許せないよ。どうしても。でも、恨みはしない」 「うん、そこからでいいよ」 普通は生きている方が、無くなった人が天国に行けるように気を使うのだが、僕の場合は、完全に彼女が僕の事をフォローしてくれている
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