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プロローグ
向き合って和室に座っているのは二人。
一人は女性。長い髪と、薄い青のワンピース。二十代後半ほどの、落ち着いた雰囲気があった。その隣には紫の四角い風呂敷包みがある。
もう一人は、高校生程に見えた。やや襟足の長い髪形や、ジーンズと英字のロゴがプリントされたシャツ。雑誌の見本をよく見て取り入れたような格好だった。
「それであの……今日持ってきた物なんですけど」
「ああはい。拝見します」
女性が風呂敷の包みをテーブルの上にあげると、相手は手を伸ばして包みを開こうとする。
「止めとけって」
ぼそっと耳に入った忠告じみた言葉を、子供は全く無視した。手を止めず、風呂敷を広げる。中から現れたのは、少女の立ち姿を模した、日本人形だ。黒い前髪は目の上で切りそろえられ、黒目がちの目は少しだけ細められたように見える。朱色の着物は落ち着いた雰囲気がありながら、目に鮮やかだった。可愛らしい、という表現がぴったりだった。
普通なら。
開いたことを、後悔しそうだった。もちろん覚悟はしていたわけだが。
(それにしても、これはキッツイ……)
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