金平糖

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「アホか」 背後から声がした。 「口開けな」 あたしは言われるがままに口を開けた。 ポイっと放り込まれたものは、甘くてシャリシャリした。 「これが金平糖」 「満天堂のやつ?」 「当たり前だろ」 そう、当たり前だった。だって満天堂の金平糖は、あたしと蓮ちゃんが出会った時の味だから。 「迎えに来てくれたの?」 「おしるこ買いに出ただけ」 蓮ちゃんは見え見えの嘘を平気でついた。 それは心地いい嘘だった。 眠たくなるような、そんな心地いい嘘はもう、ずっと一生あたしの耳元でだけ囁いてくれたらいいと思うんだ。 end
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