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「うん、聞いてない」
『そうだっけ? で、それがどうかした?』
「別に……なんでもない。詩穂から聞いたから、聞いてみただけ」
『ふーん。用って、それだけ?』
「うん」と返して、立てた膝の上に置いていたクッションに、顔を埋める。
ため息を吐いた陽が「なーんだ」とぼそりと言った。
「なーんだ、って、何?」
『だって、美亜から電話掛けてくるのとか初めてだし、何事かと思ったから』
「……電話、ダメだった?」
『違う。そういう意味じゃなくて、健太の事聞かれるとは思ってなかった、てこと。
……いつの間に仲良くなったの?』
そう付け加えられた声が、いつもより少し低かったから、弾かれるようにクッションから顔を上げた。
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