scene.3《2》

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「うん、聞いてない」 『そうだっけ? で、それがどうかした?』 「別に……なんでもない。詩穂から聞いたから、聞いてみただけ」 『ふーん。用って、それだけ?』 「うん」と返して、立てた膝の上に置いていたクッションに、顔を埋める。  ため息を吐いた陽が「なーんだ」とぼそりと言った。 「なーんだ、って、何?」 『だって、美亜から電話掛けてくるのとか初めてだし、何事かと思ったから』 「……電話、ダメだった?」 『違う。そういう意味じゃなくて、健太の事聞かれるとは思ってなかった、てこと。 ……いつの間に仲良くなったの?』  そう付け加えられた声が、いつもより少し低かったから、弾かれるようにクッションから顔を上げた。
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