3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナオキ・シチジョーだ!」
突如背後から、僕のフルネームをアメリカンスタイルで叫ばれて、そそくさと逃げ出さなかったのには理由がある。
まずはその声が幼い声色で、いわゆる”ヤバイ”雰囲気ではなかったのと、その声の主の風体が警戒よりも興味を惹くものだったからだ。
まずその顔立ちは明らかに日本人ではなく、おそらくは欧米の方らしい10歳前後の男の子。
幼い瞳はブルーで、しかし髪色は燃えるようなレッド。
おまけに身につけた衣服は、いかにも風通しの悪そうなテカテカの素材でできたシルバーのジャンプスーツという、「日本もハロウィン楽しむべきだよね!今8月だけどね!」と言いたくなるような装いである。
「ナオキ・シチジョーだよね!?」
「・・・七城直輝ですが、何か」
幼い子供に低い声が出てしまった僕を、どうか責めないでほしい。
目の前で嬉しそうに跳ねている子供はやはり奇抜そのものだったし、今もしきりに「本物だー」とか「若ーい」とか言っているんだから、時が経つほどに警戒心が膨らんでくる。
「ナオキ・シチジョー今何してるの??」
「・・・高校からの、下校途中ですが、何か」
「カタコトだー!ニホンジンなのにー!」
どうしよう怖い。
「・・迷子なのかな?お父さんかお母さんは?」
「この時代にはいないよー!でも迷子でもないよー!」
時代って何・・・。
どうしようめっちゃ怖い!
「えーっと・・・七城直輝に何かご用なのかな?ってか・・・誰?」
「ボクの名前はアレックス!でも育ったのは日本なんだ!」
「そうなの・・・日本語上手だもんね。それで・・・何?」
目の前のアレックス君は、一点の曇りも無い目で僕を見上げたまま、言った。
「インタビューさせてほしいんだ!」
最初のコメントを投稿しよう!