インタビューさせてください

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インタビュー。 正しく用件を伝えてくれたであろうアレックス君には申し訳ないが、意味がわからない。 僕はどこにでもいる一般的な日本の学生で、これから先もそのまま一般的に生きていく予定だ。 外国の、しかも僕なんかよりオリジナリティに溢れた少年に、インタビューされる心当たりは一切無いのだが。 「インタビューって、僕に?なんのことなのかさっぱり・・・」 「ナオキ・シチジョーは50年後の世界で超有名人なんだ!ボクは学校の授業でナオキ・シチジョーのことを勉強してるから、インタビューしに来たんだよ!」 ほほう。 ほほう。 わからん。 今この少年は50年後と言っただろうか? 50年後に僕、ナオキ・シチジョーは超有名人で、学校の授業内容に名を連ねるほどに偉大な人物であると、そういうことであろうか? わからんことは腐る程あるが、喉の奥で大渋滞を起こしていてうまく吐き出せない。 その間に、目の前のタイムトラベル・インタビュアーは手持ちのバッグからイソイソと手のひらサイズのビデオカメラを取り出しこちらに向ける。 が、電源が入っていないように見える。 「ごめんシチジョー・・・これの使い方を教えてくれない?手を使う空間記録はよくわかんないや」 ほほう。 なんて? 聞きたいことは掃いて捨てて、また拾って捨てるほどある。 が、目の前のいたいけな未来人に、僕の抱く疑問に全て答える技量は無さそうに見える。 未来的すぎてカメラも回せないのだから。
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