二人乗り

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
帰りは部活や委員会の活動等で、生徒達の帰宅時間もバラバラになります。雨のままであれば、仲の良い友達同士で集まり帰るのですが、あの日は途中で雨が止んでしまったのが良く無かったのでしょう。 私は委員会の為に残らなくてはならず、友達が心配して待ってると言ってくれたのを、悪いからと断ってしまったのです。普段の癖なのでしょう。その時は、歩いて帰らないといけない事が頭から消えていました。 委員会が終わり、自転車置き場まで行ってやっと気付いたのです。 一人で林道を通って帰るには、心細い薄暗さでした。 林道を避ければ、倍近く時間がかかるのでそれも億劫です。 どうしようかと思っていた時に見つけてしまったんです。自転車置き場の隅の方に、少し古くなった自転車が置き去りにされているのを。 近づいて見てみると、鍵も付いていないし、本来なら通学自転車に貼ってある筈の生徒証のシールがどこにも見当たりませんでした。 林道を通らない道でも自転車ならば、そう時間はかかりません。魔が差したとは言え、それに乗って駅まで帰ろうと思ってしまったのです。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!