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「へ~、それじゃ、葵くんはこの世界のこと全然知らないんだね」
俺とミリルは街の中を歩いていた。
「うん。そうなんだよ。だから、情報を何か掴めないかなって思ってその人に教えて貰った情報屋の所に行こうとしたら」
「男二人組に襲われている私を見つけて、危ないと思ったから私を助けてくれたんだよね」
「あ、ああ」
微笑むミリルの笑顔が可愛らしい。
「それじゃあ、お礼にこの世界のことを私が教えてあげる。『スピリッツ・パラレルワールド』の事を」
俺とミリルは並んで街の中を歩いた。
ミリルは頭だけ出して、それ以外の部分は全て黒いローブでその身を包んでいた。
「さっきから、スピリッツ・パラレルワールドって言っているけどそのスピリッツ・パラレルワールドってなんなの?」
「本当に知らないんだ。まあ、良いけれど。スピリッツ・パラレルワールドは、死んだ人が作り出す世界。そして、世界を自らの手で生み出し、自分の好きなように暮らすことの出来る場所。全てのものが自由な場所、自由に出来る場所。魂の桃源郷。それが、スピリッツ・パラレルワールドよ」
全てのものが自由な場所、自由に出来る場所、魂の桃源郷。
「なんで、何故、俺はここにいるんだ?何のために俺はここにいるんだ?」
「そんなの私にも分からないわ。でも、このスピリッツ・パラレルワールドは、意図的に作られた、人工的に作られた世界なのよ」
「人工的に作られた世界?そりゃ、この建物とか、車とか服とかは人の手で作られたものなんだろうけど」
ミリルは首を横に振って、
「違うわ。そうじゃないの。この世界が、この世界自体が人の手によって作られたものなの。違うわね。そうじゃないわ。もっと正しく言うなら、スーパーコンピュータを使って人が作り出した大規模な仮想現実世界。VRの世界なのよ。ここは」
「んな、阿呆な・・・」
葵は開いた口が塞がらなかった。
そんなことが有り得るだろうか?
この世界が作り物だって?
そんな事を実現した人間がこの世に、いや、現実世界にいたというのか!?
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