第二章 

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「それじゃ、この液体を嗅いでみたまえ。ただの水だ」 ピエロは少年に瓶を渡した。 少年は瓶の蓋を開け、鼻を近づけてみる。 微かに少年の鼻が動く。 「何も臭わないよ」 ピエロはうんうんと頷いて 「そうだろう。これは只の水だからね」 ピエロはそう言って、少年から瓶を取って、中にある水をぐいっと飲んだ。 そして、風船のように頬を膨らまして顔を上に向ける。 一呼吸置いてふうと強く息を吹きかける。 すると、火炎放射器のように大きな火の玉がゴオオオという音を立てながら口から出て来た。 炎は龍のように空に向かって立ち上っていく。 炎の、赤く、光り輝く龍。 そうして、炎は段々と勢いを失っていき、最後には消えてしまった。 ピエロは目をこちらに向けてにやりと笑う。 どうだ、見たか。これが俺の力だというように。 俺も観客もその一瞬の出来事に目を奪われた。 一瞬、時が止まったかのように思われた。 「す、凄い!」 それを観ていた一人の観客の一声で観客達は夢から目覚めた。 「ブラボー!ブラボー!」 「あんたは最高だよ!」 人々はそう言ってピエロの近くに置いてある箱にお金を置いていく。 拍手喝采を浴びながらピエロは丁寧にお辞儀をした。 「どうも。皆さん。有り難うございます。明日もこの場所でこの時間にまたショーをしようと思うので是非、見学をしに来て下さい」
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