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ということで、取り敢えず、ピエロに言われたとおりにその情報屋の所まで行こうとした。が、道が複雑過ぎて分からない。
道に迷っていると、怪しげな街頭に出た。
昼間の筈なのに、まるで夜のように暗い。
でも、ピエロが教えてくれた道は、この道で合っている筈だ。
「おい、そこの姉ちゃん。そんな所で何してんだ?」
「俺らと遊ばねぇ?なぁ、折角ここで会ったんだしよ」
黒いローブを纏った女の子が二人の男にナンパをされていた。
「なあ、姉ちゃんよぉ」
右側にいる背の高い男がその女の子の腕を掴もうとする。
すると、女の子は、その腕を振り払って冷たくその男達を罵倒する。
「私に触らないでくれる?あんた達?けがわらしいわ」
男達はカチンと頭にきたのかその女の子に掴みかかろうとする。
危ない。助けなくちゃ。
「おい」
俺は、左側にいる男に手を掛ける。
そして、次の瞬間その男の顔を思いっきり殴りつける。
もう一人の背の高い男は、いきなりの襲撃に動揺する。
その隙を突いて背の高い男の顔も殴りつける。
「ぶへぇ」
背の高い男は、ゆっくりと地面に倒れる。
「今だ!逃げるぞ!」
「え?ちょっと、あなた・・・」
俺は、黒いローブを羽織った女の子の手を握ってその場から逃げ出す。
走る。とにかく走り続ける。
女の子の手は小さくて猫の肉球のような柔らかい感触だった。
いつの間にか、広場のような場所に着いた。広場の中央には噴水があり、落ち着いた雰囲気のある場所だった。
「ここまで来たらもう大丈夫だろう」
思いっきり走ったから足の太股の筋肉が痛い。
「あの、手・・・」
女の子の凜と良く透き通る鈴のような声が耳に触れる。
「ご、ごめん」
直ぐに手を離して、隣にいる女の子を見る。
天使だ。
俺は、彼女を一目見てそう思った。
小さく、細い陶器のような白い肌に、背中まである流れるような金色の長い髪。
そして、青空のように澄み切った青い瞳は、彼女の出す妖精のようなオーラを一層引き立たせていた。
女の子は、ぷいと顔を横にして
「ほんと、いきなりレディの手を掴むなんて最低!」
「ごめん」
女の子は、ちらりと俺の方を見て、
「別に良いわよ。もう終わった事なんだし。あと・・・」
女の子は、顔を真っ赤にして
「助けてくれてありがと」
女の子の金髪の髪が風でゆらりと棚引く。
彼女はにっこりと微笑んで、
「私の名前は、ミリル。宜しく」
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