人生最悪な日はある日突然地雷のようにやってくる

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 グラース・デル・ファンテル、28歳。所属、ゾルアーズ国東方国境砦所属。  それが俺の肩書きだ。  20代で中隊の隊長となり、現在は小規模とはいえ一つの砦を預かっている。部下は若い者も多いがよくやってくれている。訓練も甘やかしていないはずだが、ついてきてくれているのだ。  『銀氷の麗人』なんていう平凡極まりないクソも嬉しくないあだ名がつくくらいには中身と表情を切り離して職務に当たっているはずの俺が、今は引きつった顔をしている。  それというのもとある問題で隣国ジェームベルト軍と共同作戦を組む事になったんだが、そこの責任者がイカレている。  顔を合わせた途端に俺の顔を見て固まり、挨拶もそこそこに両手で俺の手を握りしめているからだ。意外と痛いんだよ、馬鹿力のトカゲ野郎! 「あの…」 「理想的です! こんなに…こんなに素敵な人に私は未だ出会った事がありません! 結婚してください! そして私の子を産んでください!」 「………はぁ?」  意味がわからない。イカレてないかこのトカゲ。竜人族ってのは良識ある部族のはずだがこいつは失敗か?     
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