【微エロ】焔の花紋に触れる唇

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 ニンマリと笑う。異常と言える高揚感は狂気も煽るだろう。抑えている魔力を一度解放すれば後はどこまででも戦える。それこそ、死ぬまでだ。  前に出た俺は素手だが、青い炎は俺の思うように動く。  怯んだ奴が恐怖に剣を振り回す、その剣を素手で受け止め溶かした。その炎はそのまま男の腕までを焼く。  その間に迫った剣も足で弾き飛ばし、視線を男の足元に投げればそれだけで男の足元は炎の海となる。  暗い森の中は青い焔の揺らめきと悲鳴に騒がしい。その中で舞うように動くこの高揚感は、抑えている獣の本能が見えるものだ。  力の解放から十数分で、辺りは静かになった。  俺に向かってきた竜人4人に息はある。だが、五体満足な者はない。青い炎は骨も焼く。黒炎じゃないだけ感謝しろ。  息が上がる。そして視線を、砦に隠れるようにしている獣人2人に向けた。 「投降するなら命は取らない。どうする」  それに、手を上げて武器を捨てた狼と猫が地に膝をついて手を頭の後ろに組んだ。投降の意志だ。  その頃には周囲も騒がしくなる。部隊を引き上げてきたハルバードが、現状を見て目を丸くしている。俺は結界に人が二人通れる程度の穴を空けて、部下達を招いた。 「隊長、これは…」 「一連の事件の容疑者だ。捕らえて取り調べろ」 「隊長は…」  魔力を内に収めた俺は、流石に呻いた。     
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