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砦は静まりかえっていた。
外に出てた奴は捕り物で忙しいし、砦に残ってる奴はみんな取り押さえた奴らを調べる準備に追われている。全員煮え湯を飲まされているから、躍起になっている。
それをいいことに、ランセルは誰にも見られる事なく俺を私室に運んだ。
ベッドに寝かされた時には、俺はもう指一本も動かせなくなっていた。
とにかく熱い、そして苦しい。切ない気持ちもそこにはある。
拒絶するくせに、縋りたいなんて矛盾を抱えている。
「服、脱がせますね」
「やめ…」
掠れた声で言って聞くような奴じゃない。
ランセルは鼻歌を歌いながら実に楽しそうに俺の服を脱がせにかかる。上着のボタンを外され、シャツのボタンまで外される。
笑ってしまうのは、これらを律儀にハンガーに掛け、手で皺を伸ばす辺りか。こいつ、本当に変な部分で品がいい。
そんなコイツが、俺の体を見て息を呑む。そしてツッ…と、腰から伸びる文様をなぞった。
「ぅ…」
「綺麗ですね」
うっとりと、細い指が肌の上を滑る刺激にさえ耐えられない。殺そうとしても殺せなかった声が、どうしても漏れ出た。
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