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執務室の中では、ハルバードが忙しくしている。
その目の前にはランセルがいて、入ってきた俺を見てまったく正反対の反応をした。
「隊長、大丈夫なのですか!」
「あぁ、平気だ」
俺が魔力を解放すると数日寝込むのを承知のハルバードは、とても気遣わしい顔で近づいてくる。それに俺は苦笑を浮かべて、座ったままにっこりと微笑むランセルを見た。
「進捗はどうだ」
「予想以上に順調です。竜人達は意味のある事をまだ言えませんが、獣人の方は色々としゃべってくれました。そのおかげで、内部犯も捕まりましたよ」
「…誰だった?」
とは言え、予想はついている。
今回の事件、絶対に内部の犯人がやらなければならない仕事があった。襲われる村の近くに転移装置の端末を置く事だ。
不審者を警戒している中で、犯人が村の近くをうろつけば警戒中の兵士に見つかる。だからこれだけは内部の協力者がしていたはずだ。
今まで襲われた村の付近を巡回警護で回っていた兵士がいる。襲われた村の付近を警護する振りをして端末を置いていた。
日誌に残っていた警護の順路とメンバー。数日分を照らし合わせると、数人が重なっている。その中の誰かだ。
「…ハルディーンです」
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