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音を立てて立ち上がれば、息巻いていた上層部のクソ上司どもが皆一斉に引く。情けない。誰一人、この場で俺を抑えられる奴なんていない。
「そんなに目障りなら、消えてやる」
俺はタイを引き抜いて置いた。軍のエンブレムの入ったそれは、勲章と同じだ。人前で取るということは、軍を抜けると言うのと同じだ。
「グラース隊長!」
大慌てをしたのはさっきまで息巻いていた奴らだ。一族だ、地位だと騒ぎ立てるこいつらも、バカではない。俺が抜ければ戦力としてどれほどの痛手か、それが分からないような奴らじゃない。しかも第三砦は周囲に村がある国境沿いで、何かと懸念される事も多い。
だが、もう疲れた。軍人というものにしがみつく意味を、俺は見いだせなかった。
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