しがみついていた物がゴミ屑だと知った日

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「遊びにきちゃいました」  わざとらしい子供のようなリアクションをするランセルは、俺の隣に腰を下ろす。いい年した男二人が白昼堂々ベンチに座って言葉もなく項垂れるって、どういう光景だ。  思いながらも、さっきよりは浮上している。どうしようもない怒りや虚しさを一人で抱え込むよりは、いくぶんマシにはなっている。 「お前、軍の引き上げあるだろ」 「ハリスにお願いしてきちゃいました」 「あいつ、若いのに優秀だな。お前みたいな困った上司でも文句言わないんだから」  まだ若いし、正直言葉遣いはどうなのかとも思うが、仕事はとても有能だ。細かな事に気がついてフォローしたり、言われなくても先々の事を見越して準備や根回しをしたり。  ランセルは「うーん」と少し考えてから、一つやんわりと頷いた。 「大分付き合いが長いですからね。それに、あの性格がいいのでしょう。妙に力が入っている訳ではありませんし、どんな相手の懐にも入って行きますからね」 「それは言えるか」  考えれば俺の時にも随分すんなりと内部に入った。そう考えると少しだけ、あの青年が恐ろしくも思える。 「…仕事、終わりました?」     
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