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ジェームベルト第二国軍宿舎
目が覚めた時、酷い頭痛がした。
深酒をした翌朝だと直ぐに分かる状態に呻き、体を起こして固まった。
知らない部屋だ。どう頑張っても俺の部屋に天蓋付きのベッドはない。しかも室内は新緑色が用いられ、白い壁と新緑の絨毯やカーテン、天蓋が目に入る。置かれている家具も重厚感のある深い木目で、一目で高級だと分かる。ソファーセットだっていいものだ。
「…どこだ?」
そもそも俺は特定の家など持っていない。砦に移る前は軍の宿舎。砦に移ってからは当然そこが家だ。軍の部屋などわりと安価で、こんなに触り心地のいい物は用意されていない。現在寝ている布団だって、柔らかいのに適度な弾力があって温かいのだ。
コンコン
音がして、そちらに弾かれたように視線を向ける。情けないのが未だベッドから降りられない事だ。
上半身を起こして呆然としていると、何故かハリスが扉を開けて俺を見て、困った様に笑った。
「起きてたっすか」
「あぁ…。済まないが…」
「あぁ! えっと…なんというか、すいません」
「…あぁ」
コイツがいるなら、犯人は明白だ。そして申し訳なさそうな様子を見ると、コイツを責める事ができなくなった。苦労人だ、本当に。
「おい」
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