1226人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい…」
「犯人連れてこい」
「犯人…っすよね。いや、本当に犯罪っすから」
「問いただす」
「はいっす」
言って、ハリスは大人しく部屋を出て行った。
頭が痛いが、これはもう二日酔いじゃない。現状についてだ。
確かに俺は軍を辞めてきた。戻る気もない。そしてあいつと飲んでいる時、確かに竜の国に行くのもいいかもしれないと言った。ただそれは旅をしてみようかと言うことであって、誰が拉致しろと言った!
額を抑えているとバタバタと音がして、勢いよく扉が開いた。そして間髪を入れずに俺に抱きついて額にキスするアホがいた。
「やっと起きてくれましたね、グラースさん! もぉ、なかなか起きないから心配しちゃって」
「おい」
「はい、なんでしょうか?」
「誰が拉致れと言った」
「私がしたかったのでしました。軍はお辞めになったのでしょ?」
「そうだが! だが、俺の意志はどうした!」
「だって、竜の国に来るのもいいと仰ってたので」
「旅をしながら今後の事を考えるのもいいと思ってだ!」
大体、この口振りだと昨日の今日だ。いったいどうやった。
「いやぁ、まさか早朝から竜化して帰って来るなんて思わなくて、思わず叫んだっす」
最初のコメントを投稿しよう!