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なんにしてもイカレたトカゲが出ていった。
重苦しい溜息が出るが、現状が分からない以上は動きようもない。
ハリスが軽い食事を持って入ってきたのを良いことに、俺はあいつを座らせた。
「ハリス、ここはどこだ?」
「ジェームベルト第二国軍、通称緑竜軍の宿舎っす」
完全にあいつのテリトリーじゃないか。
「責任者は…」
「さっきの人がそれっす」
「…は?」
言っている意味が分からない。
俺は目を丸くしてハリスを見た。なんとも遠く、死んだ目だ。
実に言いづらそうなこいつの様子に、俺も嫌な予感がした。
「さっきの…というのは、ランセルの事か」
「そうっす」
「あいつがここの責任者なのか?」
「緑竜軍の総司令って言ってもいいっす」
額に手を当てて落ちてくる髪を抑えて、俺はもう言葉がない。偉そうだとも思ったし、雰囲気も他とは違った。だがまさか…そんな奴がほいほい他国に来てんじゃねぇ!
「ランセル様は緑竜軍の総司令と同時に、この国の王子っす。ここはランセル様の屋敷で、軍の宿舎っす」
頭が痛いを通り越して、お先が真っ暗に思えた。
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