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「うっす。だから…子作りしろって国王陛下からすっごくしつこく言われてるっすよ」
「……」
赤裸々すぎる内容に、俺も言葉がない。王…ということは、父親自らが息子に嫁を斡旋しまくっているのか。ご苦労な事だ。そうまでして急ぐ理由があるのか。
「危機感がありすぎるんだと思うっす。ただ、好きでもない相手を受け入れられるほど、竜人は簡単じゃないっす。匂いが合わないと欲情しないのに、薬で無理矢理興奮させて行為を行っても覚めるし、何より愛情持てないっすよ」
「そんな事までしているのか!」
どれだけの危機感だ。
確かに王子が一人で子供が出来づらいとは言え、ランセルは20代…竜の年齢では200を超えたくらいだろう。ならばまだこれからだ。そうまでして焦らせる理由が分からない。
魔力の放出をあいつが手伝った時、あいつは心底ほっとした顔で俺の匂いを好みだと言った。これが、その理由か。
「そんな事を強いられていたから、ランセル様は今幸せなんだと思うっす。グラース様に恋い焦がれているっす。そういう相手を見つけられたのは、幸せな事なんすよ」
ハリスはそう言ってニッコリ笑う。だが、俺はこれを容認できない。
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