【R18】穏やかな日常は愛を育む

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【R18】穏やかな日常は愛を育む

 翌日、ランセルは俺に緑竜軍の制服を渡してきた。  形は違えど着慣れた感触に、自然と背筋が伸びる。ハリスが迎えに来て、食堂に案内されるとランセルがいて、ゆるく笑って「おはようございます」と言ってきた。 「もういいのか?」 「まぁ、目が覚めてしまいましたし。軍を案内します、ご一緒にどうですか?」 「あぁ」  俺が答えればほっとして笑う。こういうコイツは初めてで、俺の方が戸惑っていた。  だが、悪くない。少なくとも押し切る様な勢いで迫られていた頃よりは余裕がある。落ち着いていられる。コイツの言葉や表情、仕草を見る事ができる。俺の求める穏やかな関係に、少し近づいただろう。  言われるままに軍の宿舎を回り、訓練を見て、少しだけ体を動かした。体術は俺の方が得意らしく、大抵の奴はあっという間に負かせた。  それを見ているランセルは苦笑していて、同時に仕事の顔も見せた。本気で何かを思案している、そういう様子だった。  そして昼。俺はハリスも含めて軍の食堂にいた。そしてその席で、とんでもない事を申し込まれた。 「俺が、軍の体術指南?」 「えぇ」  実に落ち着いた様子のランセルに、俺の方が驚く。監禁を解かれた途端に、ご自由にどうぞという状態だ。コイツ、極端から極端に走るタイプだ。 「今日の訓練を見て、貴方について行けない軟弱者が多い事を知りました。これでも国境沿いを守る軍です。モンスターの脅威もあるというのに、このままでは情けない。そこで、グラースさんが迷惑じゃないのなら、体術の指南をしていただけないかと」 「…俺は、厳しくて嫌われるぞ」  実際ゾルアーズの軍では俺の指南は鬼と言われた。  だがどうして甘くできる。命かかってるかもしれないのに、唯一身を守る為の訓練を怠る事なんてできない。  耳が下がるのを見たランセルは笑って「お願いします」と重ねて言う。  俺もここで時間を持て余すのは考え物で、結局はその話を受けた。
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