その①

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その② 「東京一の脳外にきっと連れて行ってあげます」と男はなぜか芝居っぽく言った。「あ~、救急車に乗っているんだ」と気がつきテレビでしか見た事のない車内を見たかったけど、体は幅広いテープ?みたいので巻かれていて自由にならなかった。超有名なS病院に期待を寄せたけど、あっさり断られ体中がものすごく痛みだした。「必ず、良い病院に運んであげます」とまた声がかかった。なんだか凄く頼もしいし、優しいし、是非ともお顔を拝見したい。でも首は回らず天井しか見られなかった。外ではピーポー走っているだろうに車内は割と静か。「たらい回しにされるのかな」と思って無理矢理、片手だけ引っ張り出して痛む頭を触ってみたら膨れた焼き餅のような大きさのこぶができていた。救急隊の人がやたら優しい理由が分かった気がした。「階段から落ちて応答ができるなんてラッキーですよ~」と囁くように聞こえて、スイッチが切れて世界も消えた。
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