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バイトを終えて優奈がマンションに帰り着くと、居間のダイニングテーブルには昼食のカレーライスが置いてあった。白い皿にご飯もカレーも山盛りだ。
「やった、カレーだ。お腹空いたんだよね」
九時から十三時までずっと立ちっぱなしだった。レジ接客はもちろん、商品の補充やトイレの掃除もやらされた。コンビニの仕事はなかなかハードだ。
「土曜日のシフトって珍しいわね」
「今日が初めてだった。基本、平日の夕方だけだよ」
母親がキッチンカウンターから出てきて、優奈の向かい側の席に座った。ぎしっと木が軋む音がする。彼女もカレーを食べ始めた。
「ねえお母さん。私、デブかなあ」
さっき骸骨から言われた言葉が、少しだけ気になった。百六十センチで五十キロジャスト。自分では標準体重だと思っていたが。
「え? 優奈が? ぜんぜんデブじゃないわよ」
細い目を大きくし、手を横に振って母は否定してくれる。
「優奈がデブだったら私は大デブよ」
振っていた手を、今度は扇子のようにして扇いでいる。暑いらしい。そういえば母は、更年期真っただ中だった。
「もうちょっと顔周りは痩せたいんだよね」
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