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水曜日は、大崎が手芸部に行く日。 だけど、結構気を遣うタイプの彼女は部活が終わると必ず此処へ顔を出す。 腕時計を見ると、あと30分足らず。 それまでに片付くといいんだけど。 俺はナンバリングされた箱から順に兎達を取り出して撮影を始めた。 この作業だけは、彼女に見せたくない…。 そう、今作ってるのは所謂サプライズという奴。 クサイかもしれないけど、 どうしても伝えたい想い。 絵コンテを見ながら、うさぎを並べてシャッターを切る。 残りの一文字は「T」 完成まであと少し。 無事に片づけまで終えた頃、控え目なノックの音が聞こえる。 時計を見ると、ほぼ定刻通りの18時ちょいと過ぎ。 「お疲れ様でーす」 彼女は俺の姿を確認して笑顔を向けてくれる。 時折、撮影や録音中の事もあるので極力音をたてない様にそーっと部室に入って来た。
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