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出番を告げるチャイムが鳴った―――。 私達は手を伸ばして重ね合わせた。 「行くぞーっ!」 「おぉっ!!」 まるで運動部の様だけど、確かに声を出すと緊張がほぐれる気がする。 舞台中央で挨拶の後、上映が始まった。 その時。 部長の手が、私の手を掴んだ。 触れる指先は、まるで氷の様に冷たい。 「…大丈夫?緊張、してるの?」 「大丈夫、って言いたいとこだけど、マジ緊張してる。 悪いんだけど、しばらく繋いでていい?」 私がいいよ、と答えると、彼はほっとした様に一つ息をついた。 珍しい。 こんな風に私に弱いところ見せるなんて記憶にない。 舞台では、女子を中心に昔懐かしい絵本を題材にした映像なだけに、感嘆の声が上がっていた。
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